足りない水への意識 地球的視野が求められる問題

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カルロス・オリベリオ・パントハ(M.P.y C.A.)

場所によって差があるため、メキシコ国内の利用可能な水資源について話すことは議論を生んでしまうかもしれません。ラカンドナジャングルに沿って水量の多い川が流れ、雨期以外でも非常に豊富な水があるチアパス州や、水量が乏しい砂漠地帯と水資源が豊富なウアステカ地区があるサン・ルイス・ポトシ州のような州もあります。

グアナフアト州は年間降水量が極めて少なく、水源は地下水に限られ、過剰搾取も進んでいることから代替となる水源探しに迫られています。同州のデータによると、少なくともここ30年間に国内で新たに採掘された井戸のうち25%は、グアナフアト州で採掘されています。一度井戸の利権証書を取得すれば、その利権書で新たに井戸を採掘することが可能で、元の井戸は放棄されます。つまり、利権書さえ取得すれば何度でも採掘が可能で、この利権書を売買する闇市場が存在するなど、非合法な形でこの制度が活用されて問題となっています。

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この図は、2030年までに水資源が甚大なダメージを被ると予測される地域を示しています。グアナフアト州は北東部を除き橙で表示されている範囲内にあり、しかも同じような環境の地域と隣り合わせになっていることが見て取れます。ただ、都市部の住民は、政府からの補助金により飲料水供給サービスを受けることが当たり前と考えており、貴重な水資源が無くなる心配をすることなく過ごしています。また、生活排水をトイレに使用することや自宅に雨水を蓄える設備を備えるなど、水の再利用について積極的ではなく、水を適切に管理して生活に活用していないのが現状です。

それでは今後、水資源に対し対策は全くないのでしょうか。

水資源の開発について書かれた「持続可能な水の淡水化:メキシコの特許」という記事では、遠心逆浸透法を用いた半永久的な海水淡水化システムを紹介しています。これは、海水から塩分濃度を下げた飲用水を精製し、精製時に発生した高濃度の塩水をなるべく海洋環境に影響を与えない形で海に流すという、メキシコの各地を発展させるシステムだと思います。

しかし、バハカリフォルニア半島における人口密度は、1平方キロメートルあたり4人の割合です。そこに住む全ての人に水を届ける目的だけで大規模な海水淡水化システムを導入するとどうなるでしょう。いかに海洋環境に影響を与えないと言えども大量に高濃度の塩水が排水されれば、その影響はどこかしら出る可能性はあるでしょう。通常、このようなデータには大気や土壌、そして生態系に関わる人為的な影響を過小評価する傾向があり、加えて人口密度とその先の増加率が他の資源に与える影響についてもっと注意を払う必要があると思われます。

言い換えれば、他の生態系に与える影響を考慮せずに、水資源のことだけを考えることはできないということです。また、海洋環境への影響が少ないと想定されるこのシステムですが、人口の増加と共に世界中でこのシステムが用いられるとどうなるのでしょうか。多くの都市が水を確保するために海水を軟水化し、やや高い塩分濃度になったものを海に排水するとどうなるでしょうか。これが世界的な海洋生態系の将来にどのように影響するのでしょうか。そして、将来どこで安全な飲用水を得ることができ、そこでは人口増加が見込めるのでしょうか。海流、または微生物など海水の中の含有物質の飲料水は、人体に影響を及ぼさないのでしょうか。地球の、人間の生態系について考える時、この海水淡水化システムは、小さな問題で済まないように思えます。

将来世代の人々の生活の質や存在そのものを危険に晒すのであれば、もはや半永久的システムになり得ないでしょう。ただ、沿岸近くの地域で、現在も水が不足している地区が小規模にこのシステムを導入することは、考慮して良いかもしれません。しかし、既に述べたように今の時点でバランスを崩し始めている地上や海洋生物の生態系に影響を与えないように、十分注意してシステム開発を行わなければなりません。

他にも疑問が残ります。このシステムは本当に大規模なレベルで開発されるのでしょうか。もしそうなれば、先程の図1の予測はどのように変化するのでしょうか。私たちがテクノロジーによる変化の時代に生きていることは疑いようがありません。過去に行われたことの結果として、現在芳しくない環境で私たちは生活していることを考えると、その導入について慎重になるべきです。

最後に、海水淡水化システムの開発と導入の決定は政府に委ねられるものですが、これは全ての人の責任です。私たちは生存していくために、必要不可欠な天然資源である水について各自が把握することの重要性を学び、それは共同体として私たちが政治に何を求めるかを正しく選ぶことにつながると思います。水資源を大切にするという正しい態度と、その周辺の生態系がどのような状態にあるかは、私たちが「地球」と呼ぶこの惑星にいる全ての人間の命がどのような状態にあるかを表していると言えるでしょう。私たちは水の使用やその開発だけを考えるのではなく、体系的にそれを理解すべきです。水という大切な資源は、私たちと地球に共生する他の生物が生きていくのに不可欠なものなのですから。

<参考サイト>

・Consejo Consultivo del Agua – http://www.aguas.org.mx/sitio/index.php/panorama-del-agua/diagnosticos-del-agua

・CIUDAD DIGNA “Desalinización sustentable del agua: patente mexicana” – https://ciudaddigne.org/2018/03/desalinizacion-sustentable-del-agua-patente- mexicana

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