知られざるベイスボルの輝き 大いなる可能性を秘めたメキシコ野球

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「メキシコを代表するスポーツは?」と聞かれると、ほとんどの人はサッカーと答えるでしょう。しかし、サッカーのように長い歴史を持ち、世界的に注目されているスポーツがあります。それは日本でもお馴染みのスポーツ。そうです、あの野球なんです。

メキシコにおける野球の起源ははっきりとわかっていませんが、近代野球の発祥の地であるアメリカから1877年頃に国境近くの3つの町、タマウリパス州ヌエボ・ラレド、ソノラ州グアイマス、ヌエボ・レオン州カデレイタ・ヒメネスに伝わったというのが通説です。その年の終わりには野球人気に火が着き、当時連邦区と呼ばれていた首都にメキシコで最古の野球チームと言われる「メヒカーノ・クラブ」が設立されます。しかし、人気があったにも係わらずアメリカのメジャーリーグのようにプロのリーグ戦が行われるようになったのは1925年からで「Liga Mexicana de Béisbol」と呼ばれ、人気を保ちつつ現在に至るまで続いています。

また、アメリカに近いことから1906年のシカゴ・ホワイトソックスに始まり、その他にフィラデルフィア・アスレチックス(現在のオークランド・アスレチックス)などの試合が見世物として、そして1996年にはメジャーリーグ初の海外公式戦としてサンディエゴ・パドレス対ニューヨーク・メッツの3連戦がメキシコで行われています。

このような背景と永年続く野球人気によりメキシコ人プレーヤーのクオリティは大きくレベルアップし、彼らの多くはメジャーリーグなどの海外の場に活躍を拡げるまでになりました。ここで野球の本場、アメリカのメジャーリーグで素晴らしい成績を収めたメキシコ人プレーヤーたちをご紹介しましょう。

・バルドメロ・アルマダ

ソノラ州ワタバンポ出身の彼は「Melo」という愛称で知られています。左投げ左打ちの外野手で、メキシコ人初のメジャーリーガーとして1933年ボストン・レッドソックスに入団しました。

・ボビー・アビラ

本名はロベルトで「El Beto」の愛称で親しまれたベラクルス出身の彼は、1949年にクリーブランド・インディアンズに入団します。1954年にはワールドシリーズに出場して惜しくもニューヨーク・ジャイアンツに敗れはしますが、その年のアメリカン・リーグの首位打者に輝き、メキシコ人初のタイトルホルダーの彼のことを「メキシコ球界の英雄」として今も讃えています。

・アウレリオ・ロドリゲス

ソノラ州カナネア出身の右投げ右打ちの内野手。1967年にメジャーデビューすると1971年に移籍したデトロイト・タイガーズで頭角を現します。1976年には三塁手として守備の最高賞であるゴールデングラブ賞を受賞し、1983年にメジャーリーグを去るまでに2000試合近くの出場を果たしました。

・フェルナンド・バレンズエラ

ソノラ州エッチョワキーラ出身の左投げの投手で、彼は「最高のメキシコ人投手」としてこの先も名を残すことでしょう。1980年のシーズン終盤にロサンゼルス・ドジャーズでメジャーデビューし、翌年からローテーションの一角を担うとオールスターにも出場。その年のワールドシリーズに進出してチームはワールドチャンピオンに輝き、投手における最高賞であるサイ・ヤング賞と新人賞のダブル受賞を果たしました。

・テディ・ヒゲーラ

シナロア州ロスモチス出身の左投げの投手で、1985年にミルウォーキー・ブルワーズでメジャーデビュー。この時、最後の一枠を争ったのが江夏豊投手だったというのは有名な話で、翌年にはオールスターに出場してバレンズエラ投手と投げ合います。これはメキシコ人同士によるオールスター登板という史上初の快挙で、更にこの年にはアメリカンリーグ初のメキシコ人によるシーズン20勝という記録も打ち立てました。

・ビニー・カスティーヤ

オアハカ州オアハカ出身の右投げ右打ちの内野手。主にコロラド・ロッキーズで活躍した彼はメジャー通算で320本のホームランを放ち、これはメキシコ出身プレーヤーの最多本塁打の記録になっています。1シーズン最高では46本塁打、36歳で自身初のタイトルである打点王を獲得するなど、パワフルな彼のバッティングはファンの目を大いに喜ばし、その姿を多くの人々の記憶に留めました。

・ヨバニ・ガヤルド

ミチョアカン州ラ・ピエダード出身の本格派右腕の投手。速球の平均球速が140キロ後半で最高球速が157キロという持ち味を活かし、2009〜2012年には4年連続で200奪三振を記録しました。また、代打で出場して試合を決める安打を打つなど、投手としては珍しくバッティングが良いことも有名です。2010年にはオールスターに、一昨年のワールド・ベースボール・クラシックではメキシコ代表に選出されました。

現在も多くのメキシコ人プレーヤーが活躍しているメジャーリーグの公式戦が、昨年に引き続き今年もメキシコにやってきます。野球場としてメキシコ最大を誇る22,061人収容のエスタディオ・デ・ベイスボル・モンテレイ【Estadio de Béisbol de Monterrey】にて、今年は1試合増えて4試合が行われることとなりました。日程と対戦カードは以下の通りです。

■2019年4月13〜14日

セントルイス・カージナルス対シンシナティ・レッズ

■2019年5月4〜5日

ヒューストン・アストロズ対ロサンゼルス・エンゼルス

野球ファン、とりわけメジャーリーグのファンにとって喜びで涙するほどの好カードです。そして日本の野球ファンにとってもエンゼルスがメキシコで見られるということは、あの二刀流の大谷翔平選手が直に見られるチャンスなのです。残念なことに肘を手術したため投手の姿は見られませんが、打者としてホームランアーチを描く姿が見られる可能性は大いにあります。

とはいえ、スケジュールが・・・チケットが・・・などの理由でメジャーリーグがどうしても見られないという方は、4月から始まる国内リーグに出掛けてみて、将来のメジャーリーガーを探してみるのはいかがですか。メキシコ野球界は国内の優秀な選手を海外に輩出し、また、本場アメリカのベースボールをそのまま国内に取り入れることで、更なるレベルアップを図ろうとする将来有望なスポーツなのです。

これらの取り組みは、一般のメキシコ人やメキシコ在住の外国人にも新たな関心を生み出し、「ベイスボル」全体が盛り上がる重要な要素となり得るでしょう。

<参考>

・escueladebaseball.wordpress

・Solobaseball.mx

・Mediotiempo – www.mediotiempo.com

・Publimetro – www.publimetro.com.mx

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