ケツァルコアトルの贈り物 カルロス•サラゴサ

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皆様、初めまして。

この2019年1月版から、メキシコいろいろな伝承や歴史や文化に関するストーリーをご紹介し、メキシコと日本の間にどんな類似点があるか、また相違点があるかを知り合うことでお互いの国をよく知り、より深い相互理解ができるのではないでしょうか。この第一回目は私たちのメキシコ伝わる「ケツァルコアトルの贈り物」という物語です。

昔から伝承されているこの物語の主人公は、神話的な人物「ケツァルコアトル」です。「ケツァルコアトル」はナワトル語から訳された名前で、「ケツァルの蛇」という意味であり、メキシコ神話(メソアメリカの様々な文化に属する神々を含む)の主要神で、金星と風に関係があり、様々な性格を持つ神とされています。メキシコ人の口語伝承がまとめられた本「ウェウェトラトリ(Huehuetlatolli)」(古い言葉という意味)には、ケツァルコアトルの功績がまとめられています。その本によると、昔彼らの祖先は植物の根を集めたり、鳥や哺乳類の狩猟をして食料を手に入れていました。しかし、現在の主食ともいえるべきトウモロコシは深い山々のずっと奥に隠されていました。この状況を憂え神々たちは、彼らの持つ能力を駆使して深い山に道を切り開き、トウモロコシを手に入れようとしましたがすべて失敗しました。

そのような状況の中、人々の願いを聞きつけたケツァルコアトルは、山奥からトウモロコシの粒を取ってくることを決心します。まずケツァルコアトルは、やみくもに力を使う代わりに知恵を使い、トウモロコシのありかを知る赤いアリに近づくために自らの姿を黒いアリに変えました。当初はなかなか赤いアリを説得することはできませんでしたが、なんとか説得し、赤い蟻の蓄えていたトウモロコシを手に入れるべく長くて危険な旅路へと出かけました。

黒い蟻に姿を変えたケツァルコアトルはやっとのことで、赤いアリの案内のもと、ただ一粒のトウモロコシを入手して、人々が待つ村へと帰還するのです。そして、ケツァルコアトルは彼らにトウモロコシの粒を与え、植え方、栽培方法、収穫する方法を伝承したのです。現代の豊かな生活の糧となっているトウモロコシ。このトウモロコシとメキシコ人との出会いを描いた神話です。

一方で、皆様の祖国・日本でも瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)という神が、高天原から人々の飢えを憂いて稲穂を持って現れ、民に平和を与えたことが記されていたことを思い出します。太平洋という大海原を挟んだ2つの土地で語り継がれるこの2つのストーリーの類似性は、偶然とはいえ、何らかの縁を感じずにはいられない興味深い内容と言えます。

ケツァルコアトルはこの物語以外にも、翡翠の彫刻技術を伝承してこの国の装飾文化の起源を起こしたり、人身供儀を廃止して平和をもたらしたりと様々な逸話が語り継がれているまさに大活躍の神様なのです。

<参照•参考>

https://www.estudioshistoricos.inah.gob.mx/revistaHistorias/wp-content/uploads/historias_23_188-190.pdf
https://books.google.com.mx/books?id=0AoOAAAAQAAJ&printsec=frontcover&hl=es#v=onepage&q&f=falsehttps://www.fondodeculturaeconomica.com/DetalleEd.aspx?ctit=029001R
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