パストレラ -Pas­to­re­la12月の生誕劇

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ホセ・ルイス・ガリアーノ(メキシコ文化担当記者)

12月、それは大切な祝祭 がある季節。アッシジの 聖フランシスコが各地に 広めたといわれるこのイ エス・キリストの生誕を祝う習慣。12月24日 は多くの都市で、町で、村で、いかなるコミ ュニティでもお祝いする、キリスト教の伝 統です。 パストレラ【Pas­to­re­la】(田園曲、牧歌劇) とキリストの降誕。キリスト教から生まれた この2つの題材は現在も存在し、この国の 文化的発展に貢献しました。ある面から見 るとアイデンティティの成り立ちについて 語る時、これらは文化的浸食と見なされる かもしれませんが、言い換えるとこの2つの アイデアは、キリスト教という共通のエッセ ンスを持ったわかりやすいストーリーを伝 えることで人々から理解され、しかし、それ ぞれの地域社会や住民たちは単純にキリ スト教の教えをそのまま受け入れるのでは なく、その地域や土地が持つ風土や習慣に 合わせて適応させたとも言えます。

実際、 現在のコミュニティの文化的成り立ちを見 れば、この時間の経過がコミュニティ独自 のローカル・アイデンティティを生み出し、 育んだことはおわかりでしょう。これらが その大きな一端を担ったと言えることは確 かです。 バヒオ地域も、クリスマス・ソングを歌うた め大勢が集まる「クリスマス・コロキウム」 や、地域の習慣を色濃く残したままの歌や 劇でキリストの誕生を表現するパストレラ のような消えゆく危険に晒されている伝統 的な無形文化の保存に努力しています。

多 くのクリスマスにまつわる風習は途絶えま したが、そのいくつかはレオン近郊の農村 で今も残されています。 例えば、レオンのラ・アルシナ【La Ar­ci­na】 コミュニティのパストレラ「神の子」は、12 月24日の晩からクリスマスの朝までの約10 時間演じられ、そこでは女性役も全て男性 が演じるという風習が残っています。 古い資料が残っているものでは、羊飼いと 同様にその資料通りの天使と悪魔の衣装 や道具が準備され、昔の物でPa­tolの木やリュウゼツランから作られるIxtleという 繊維のウィッグなどが施されたマスク などはメキシコの博物館に保存されて います。

パストレラは小学校でも行われていま すが、そこでは昔のようなキリスト教の 布教と教育と言うよりは、パストレラ自 体の保存と継承という意味が大きいで す。コミュニティのもののような10〜12 時間行うのではなく、毎年同じようなハ イライトの場面を30分〜1時間程度上演 します。演目内容をかい摘んで言うと、

• イエス・キリストの誕生を羊飼いに 伝える

• ヨセフとマリアが辿り着く

• 悪魔がイエスの誕生を妨害する

• 天使たちが羊飼いに助けを求め、 悪魔と直面する

• 羊飼いはヨセフとマリアをかくまう

• イエスの誕生

• 悪魔を退治する このように生活に深く浸透している

パ ストレラは、町の至る所で様々なコミュ ニティ、様々なグループが行っており、こ こ数年はエンターテイメント色の強いも の、笑いやコメディなどを織り交ぜたも のが出現しています。市内のいくつかの 地域では、花火とメキシカンスナックで 楽しむスタイルもあり、現代的なメキシ コ人の特性を表したものもあります。

た だ、もっとパストレラのことを深く知り たければ、古くから行われている伝統 に則したものを観劇することをお勧め します。 確かなことは、今も変わらずメキシコの 古き日々の詩や歌に耳を傾けて思いを 馳せることにより、200年以上前に書か れたパストレラが今に輝き、またそれを 口承など人から人へと言葉で渡す努力 が続けられ、そしてこれら伝統を今後も 保存すること。同時にファッションの ように各コミュニティ、各時代、各世代 の多様な習慣に合うように、これからも 変化し生き続けることです

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