レストランの多様化 メキシコ食文化の片鱗

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ミリアム・コンスタンティノ

メキシコの食文化は奥深 い。料理のことをあれこれ 語るのも良いが、ちょっと 目線を変えて今回はレストランの歴史から 食文化を覗いてみたい。

「メキシコのレストランの歴史は1525年ヌ エボ・エスパーニャの宿屋で出されたパン、 ワイン、水、肉から始まる」

この言葉通り当時のヌエバ・エスパーニャ( スペインに支配されていた時期のメキシコ の名称)には旅館、居酒屋、ホステルなどの 簡易旅館などが現れ始め、旅行者は旅の 疲れを癒すためや食事をするために、町は ずれにあるこれらの施設に足を運んだ。 1785年までにメキシコシティのタクバ通り に喫茶店がオープンし、これを境に飲食店 が次々とオープンする。

店のコンセプトによ り名前も様々になり、その中には女性が接 客を行う店も現れた。 19世紀にフランス語の「レストラン」という 言葉を店名に使うことが流行し、それに伴 いメニューやサービスも増えていく。 1860年に最も古いレストラン「La Hostería de Santo Domingo」がメキシコシティに産 声を上げ、大統領に国会議員、アーティスト や画家、彫刻家、作家など様々な著名人た ちが集い、瞬く間に評判になった。

その頃スペインではフランス料理が人気を 博し、1879年にはスペインからフランス料 理が伝わり、フランス料理のレストランがオ ープン。フランスから食材の取り寄せも始ま った。

そして時は移ろい1936年には、ドイツ人 シェフによるレストラン「el Bellinghausen」がオープンする。このレストランは メキシコで初のドイツ料理店であり、メ ニューの豊富さからヨーロッパの料理 好きの上流階級の間で評判になった。

1970年代以降は、メキシコ全土でホテ ル内にレストランを設けるブームが起こ る。それと時を同じくしてモンテレイで は仔ヤギの料理店が、メキシコ北部で は濃い味付けとサルサが決め手のテキ サス風メキシコ料理店が現れ、これら の店は現在でも人気があり、フランチャ イズ化しているレストランもある。

1994年アメリカ、カナダ、メキシコ間の 自由貿易協定が結ばれ、その結果食品 業界では爆発的なファーストフードの出 店ブームが起こり、メキシコ人の食文化 にも広がりを見せた。 ここまでは多様化したメキシコのレスト ランの歴史についての話をしてきたが、 最後にひとつ、慣習についてのお話し を。

例えば、広々としたオープンテラスやキ ッズスペースのある開放的なレストラン やバーにあなたがいたとしても、メキシ コ人はあなたのプライバシーを重視し ません。

大概のメキシコ人は、レストラ ンで知り合いを見つけたら挨拶を交わ し、そのまま同じテーブルを囲んで楽し い時間を過ごすのがあたりまえ。そこに はメキシコ人として変わることのない陽 気なアイデンティティが存在するので、 あしからず。

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