前立腺がん、男性だけの課題

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マヌエル マクベス

前立腺がん は、世界規模 で男性に発生する悪 性腫瘍の中でも最も 罹患率が高いと言わ れ、60歳以上の方に 起こりやすいという記 録があります。 前立腺とは、生殖道と尿路の一部で腺状 の臓器の事を言います。これはクルミのよ うな形をしており、膀胱の真下そして尿道( 尿と精液を陰茎へと排出する管)の根元を 取り囲むように位置しています。そして、尿 道は排尿又は射精の時に尿や精液の排泄 量を調整するという役割を持っています。

尿道は人体の他の部位と同様に、良性の病気にかかることもあります。例えば、前立腺 炎などの性行為感染によるもので、抗菌療 法を受ければ十分なものや、前立腺肥大症 といって、加齢と共に前立腺が肥大した病気等です。

世界中の男女のがん発症件数 を分析したところ、悪性腫瘍 の中でも最も多いのは乳がん で、前立腺がんは1,094,916 件で第2位を占めています。 また、男性間でのがん発症件 数の多さでは、年間100万件を 超えるという肺がんが第1位で、 前立腺がんはその次になります。 年間死亡者数による順位では、肺が ん、肝臓がん、胃がん、そして直腸がんの 次に前立腺がんが位置し、307,481件で第 5位です。(WHOの統計より)

上記で大まかな前立腺がんの発症数や死 亡数について述べましたが、実際の数値は 調査する地域によって変わってきます。推 定では、東洋の国々では発症件数は低く、 西ヨーロッパでは平均的な数値で、北米及 び北ヨーロッパが一番多いとされていま す。

例えば、東洋の男性人口におけるこの 悪性腫瘍の発症数は10万人に1人で、米国 前立腺がん、男性だけの課題 の黒人種では10万人の内200人以上となっ ています。 ラテンアメリカでは前立腺がんによる悪性 腫瘍の発症件数が最も多く、がん発症件 数が152,403件(全体の28.6%)で年間死 亡者数が51,313件(16.4%)です。ならびに 肺がんの発症件数の多さは第2位です。

メ キシコでは、両方の比率は同等に近いですが、前立腺がんによる悪性腫瘍の方がや や多く、がん発症件数が14,016件(21.4%) で年間死亡者数が6,367件(16.5%)です。 (GLOBOCAN2012の統計による)

しかしながら前記の傾向は日本人男性に は当てはまりません。なぜなら日本では 前立腺がんは発症件数55,970件(13.6%) では第4位、そして年間死亡者数11,644件 (5.2%)では第6位になるからです。   実際に日本人男性にとって深刻なのは、胃 がん(最多発症率)、直腸がん、肺がん(最 多死亡率)、肝臓がん及び膵臓がん等とい えます。(GLOBOCAN2012の統計による)

この悪性腫瘍の主な危険因子として顕著な ものは加齢です。事実、前立腺がんは40歳 以下の男性の発症率は大変低く、発症率が 最も高いとされるのは65歳前後の男性で す。他に挙げられるのは種族(黒人系の男 性に多い)と遺伝、そして栄養的な要因等 です。 岐阜大学の清水弘之教授及びその協力者 らが発表した論文によれば、アメリカに永 住し、西洋的なライフスタイルが習慣化し た日本人男性は、日本在住の男性よりも前 立腺がんの発症リスクが高いとのことで す。にも関わらず、アメリカの白人系男性の 発症率と比べたら、アメリカ永住日本男性 はまだ低い方だと言われています。これら のデーターによれば、環境的要因も重大な 意味を持っていると考えられます。( Jpn.J. Cancer Res 1991;82:483-485.)

前述した男性の生殖道と尿路における前立 腺がんの症状は、主に生理的な必要性が ある時に自覚されます。早期の内は、多く の場合、殆ど自覚症状が無いか或いはまだ 病因が特定されていません。早期のがんに 関するいくつかの症状は、急に尿意を感じ るようになったり、頻尿になるといった変化や尿路感染,会陰部(陰嚢と肛門の間) や陰嚢の痛み、性欲喪失、勃起不全等があ げられます。

排尿時の圧迫感又は血尿があ った時には、既に症状がかなり進行してい ます。 もし、前立腺がんが初期の内に発見され れば、その治療効果もかなり高いものを期 待でき、罹患率も低いと言えます。その為、 アメリカ泌尿器科学会やアメリカがん協会 は、50才以上の全男性に対して早期発見 の機会を与えるべきで、特に罹患率の高い 黒人種や遺伝的な要素を持つ男性には45 才からの精密検査を推薦すると提唱してい ます。

このように、我々は男性のみ罹患するこの がんの重要性を認識するべきなのです。そ して大多数の悪性腫瘍においては、早期発 見によって発見後の余命を長くし、より適 切な生活の質を保てるのです。 40代を過ぎた女性らが年に1度の健診で マンモグラフィ一診断を受けるように、50 代を過ぎた男性も、必ず1年に1度は健診 を受けるべきです。

この11月には、皆さんも男性の健康と福祉 を意識づけるグロ一バルな運動に連帯しよ うではありませんか。このリボンをまるで男 性のシンボルであるヒゲの様に見立てて、 前立腺がん撲滅運動の象徴であるブル一 リボンであなたも色付けをしましょう。それ が、今そのがんと戦っている、或いはそのが んに打勝った仲間たちへの結束とサポ一ト へとつながります。 このようにしてこの運動は、「MOVEMBER」と呼ばれて2003年から毎年11月に推 進されてきました。前立腺がんは男性だけ に与えられた課題だということをどうかお 忘れなく。 Happy november!

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