ドクロと踊り、 笑い、戯れる メキシコの死者の日

 -  - 


ホセ・ルイス・ガリアーノ(メキシコ文化担当記者)

メキシコにおける死者の 祭りは、同国の祭礼の中 でも最も重要な位置を占 めています。そして、世に出 た多くの芸術表現らは、人類学的文化遺産 の一つとして登録されています。

これはメキシコ人にとっては、恐怖やホラ ーのお祭りではなく、生前愛した音楽、歌、 ダンスや食べ物等を捧げて、先祖や愛する 人の死を哀惜し、思い出を慈しむお祭りで す。 又、メキシコ人同士での日常会話には死を ほのめかしたり茶化した詩や諺などが息 づいています。これらをメキシコでは“文学 的ドクロ又は紙面上のドクロ”と呼んでいま す。

19世紀中頃から現在に至るまで、その時々 で死者にまつわる短い詩を書く習慣が残っ ています。これらは、大衆を楽しませるため に集会で朗読されたり新聞に記載されたり します。メキシコの死者の日には、“カラベ ーラス(ドクロ)”と呼ばれる韻を踏んだ詩 や喜劇的な笑い話等が散見します。つまり 街中で売られる砂糖菓子のドクロがあるように、紙面上のドクロも存在し続けていま す。

この紙面上のドクロらは現在、殆どの新聞、 主に政治色の濃い紙面に政治の風刺的表 現として取り上げられています。又、巷の学校では、他界したアーティスト、文化人又は 教師を題材にした作詩コンクールが行われ ることもしばしばです。

このような伝統の中でも特に傑出している のが、19世紀末から20世紀初頭に輩出した べネガス・アローヨとホセ・グアダルペ・ポサ ーダによる作品群です。それらは例えばメキ シコ革命で打倒された、長い独裁政権を敷 いた権力の亡者ポルフィリオ・ディアス大統 領のガイコツ姿をビラに刷って大衆にばら 撒き、“こうなってしまえば権力者も貴族も 貧乏人も皆同じだ”と笑い飛ばし、社会主義 的観点を踏まえたユ一モアやペ一ソスで民 衆を虜にしました。

メキシコ人の死に対する考え方を知るに は、ポサーダによる絵や詩を参照すると良 いでしょう。例えば、“ガイコツ美人のラ・カ トリーナ”や、ガイコツの舞”では、骸骨が生 きている人々と共に墓地で飲食を共にしイ キイキと踊り、お祭りを楽しむ姿が活写され ています。

ドクロと踊り、 笑い、戯れる最後に、ホセ・グアダルペ・ポサーダの 詩をここに紹介します。

Quien quiera gozar de veras (生を本当に享受したい人)

y divertirse un ratón (そして楽しい一時を過ごしたい人は)

venga con las calaveras (ガイコツらを連れて来て)

a gozar en el panteón (墓地で楽しく過ごしましょう).

Literatos distinguidos (誉れ高い知識人らを)

en la hediondez encontré (腐臭漂う墓地の中で見つけたよ)

en gusanos confundidos (彼らは錯乱するウジ虫どもにまみれて),

sin ellos saber porque (何故そこに居るのかも分からなぬまま).

Y en gran tropel apiñados (大勢の人込みの中で)

los vendedores corrían (物売り達が駆け抜ける)

contentos y entusiasmados (あいつらは喜び勇んでいるよ)

por el negocio que hacían (仕掛けたワナが上手く行ったのさ).

Cereros de sacrista (聖具室の清らかなロウソクらは)

que roban la cera al rato (少しずつロウを溶かして行く),

que con mucha sangre fría (凄まじいほどの冷酷さで)

se echan el sufragio al plato (選挙を皿に投げだすのさ).

bookmark icon