ティヘリジャ メキシコのハサミムシ

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アレハンドロ ムニョス • フォトジャーナリスト

ティヘリジャ(Tijerilla ま たはTijeretas 日本語で はハサミムシ)は昆虫の 一種で、人が寝ている間に耳の中に入り込 み、大きなはさみで鼓膜を切ってしまうと いう噂を多くの人が信じています。またティ ヘリジャは、人間の外耳道の中に入り込む と脳に卵を産みこむという、まるでホラー 映画のような迷信も信じられています。

ティヘリジャは、英語名では”Earwig”、フラ ンス語では”Percer-oreilles”と呼ばれて、ど うやらかなり古い時代のフランスやサクソ ン地方から「耳に穴をあける」という意味 で伝わっており、確かにこの昆虫は実際に 暗い場所に生息を好みますが、この伝承の 科学的な根拠は現在まで確認されていま せん。

このティヘリジャは、ギリシャ語で皮膚の 翼をもつ虫・「Dermaptera」と言われてお り、確かにこのティヘリジャは非常に薄い一 対の羽根と、それを覆う固い外皮を持って おり、カブトムシに似ています。腹部には、 「forticulas」というはさみを持っており、 一般的に雄雌のはさみの形状は異なり、オ スはカーブがあるはさみを、メスはまっす ぐなはさみを持っています。交尾の時、整 羽の時、体を掃除する時、また着地後に羽 根を整える時に、このはさみを使用します が、捕食や人間の耳に侵入するためには使 いません。しかしながら、もし彼らを掴もう としたならば、彼らのはさみに挟まれてし まいます。

ティヘリジャを含むハサミムシは、極地を除 く世界各国に生息していますが、どちらかと いえばトロピカルな環境を好みます。世界 中で1,800種ほど確認されており、メキ シコでの正確な種の数はわかりませんが、 数百種類のティヘリジャが生息していると 言われ、その数は全種の約5%程度ではな いかと言われています。

特筆すべきは、このティヘリジャは他の昆虫 と異なり、メスが木の幹や石の間に産卵し た後、孵化するまでの間、オスが外敵や寄 生虫から卵を守ることです。メスは産卵後 には普通の活動に戻り、そして孵化し育っ た若いティヘリジャたちはそれぞれ独自に活動を始めます。  ティヘリジャの食習慣は、主に腐植食で、 特に森の土壌、耕作地、人工物の中の有機 物を探して食べます。ある一部の種は作物 の根を食べてしまうために、大量発生した 場合は害虫として扱われています。
しかし一方、ある一部の種のティヘリジャ は、害虫とは全く逆に、農業にとって非常 に重要で、生物学的コントロールの担い手 として考えられているものもいます。事実、 有機農法においてティヘリジャは、不用意 な害虫への殺虫剤として用いられ、高い評 価を得ています。害虫種かそうでないかを 判断するのはその個体群を知ることが必 要です。

さて、このティヘリジャですが、農業以外に も私達の経済活動に大きな影響を与える ことがあります。特に雨期(6~9月ごろ)に この昆虫が急激に増え、例えば大事なシス テムが内蔵された機械に入り込み、悪さを してしまい、大損害を被った事例もありま す。

また、輸出梱包に携わる人々にとってティヘ リジャが問題になっているのは、この昆虫 が夜間活発に活動し、その際に白色光に一 斉に集まるということです。日中は箱や樽、 梱包されたコンテナ等の隙間や亀裂など日 陰の部分に隠れています。

このような昆虫被害から輸出品を守るため には以下が推奨されています。 • 壁面端部までの金属シートの隙間シール 処理 • 製造部門箇所および近接街頭での黄色 電灯の使用 • 輸送部門での昆虫の移動を遮断するド ア閉塞対策 • 集団的な害虫の発生(場所や時間等)の 予測と駆除が行える総合的な害虫駆除管 理システムの導入 • 積み替え前の未梱包時の荷物の確認ティヘリジャと同じような昆虫の中には、言 われなき罪で中傷されているものもいま す。例え部屋で1匹のティヘリジャを見つけ たとしても、あなたの耳の中に逃げ込むよ うなことはないので、安心してください。

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