8月の 親たちの憂鬱 3000ペソが消える 新学年の闇とは?

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 ウンベルト・ゴメス

8月の終わり は、メキシ コでも子供 たちの長い 夏休みが終 わり、学校 に戻る時期 です。でも、 この時期は、各家庭にとって 経済的に「やっかいな種」が ばらまかれる時でもあるので す。全国商業・サービス・観 光会議所連合会 (Concanaco Servytur)によると、今年、 この時期だけで750億ペソが 消費されるとしています。い ったいどうしてなのでしょう か。

皆さんご存知の通り、この国 では多くの学校で8月下旬に 新学年が始まります。メキシ コでは、公立学校は基本的 に無料であり、メキシコ憲法 の第3章でも、「すべての人は 教育を受ける権利があり、国 はその教育の質を保証しな ければならない」と定めてい ます。しかし、実際は公立私 立問わず、この時期親たちは 莫大なお金を支出しなけれ ばならず、家計は火の車なの です。

例えば、学費は無料な 公立高校でも、制服や靴、運 動靴や運動着を新学年に向 けて購入しなければならず、 小規模事業者連合(Anpec) によると、子ども1人につき、 毎年この時期、3000ペソ も消費しているということで す。メキシコの家庭は平均し て、2・3人子どもがいること を考えると、この時期どれだ け出費が大変なのか、想像に 難くないでしょう。

また、公立の学校でも 学校に入る際に登録 料を任意で支払わないといけません。 登録料は、箒やバケツ、モップなどの清 掃用品代や、石鹸やトイレットペーパー などの衛生用品代として、支払うように 要求されることがあります。公共教育省 (SEP)は、「教育機関は、PTAが承諾し たときにのみ、これらの代金を請求でき る」と明言していますが、実際はどうな のでしょうか。

また、親たちにとって今、最も頭を悩ま せるのが、学校用品の価格上昇です。経 済紙「フィナンシエロ紙」がINEG(I国立 統計地理情報院)のデータをもとに分 析したところ、学校用品37品目の価格 が過去1年で平均して9.2%も上昇した ということです。詳細をみてみると、7品 目で価格が低下したものの、残り30品 目が平均して12.4%上昇しており、これ は前年度(6.77%)に比べて、倍も増え たことになります。そのうち、最も顕著 に上昇したのがノートで、37%も上昇 しました。鉛筆やペンもそれぞれ、22 %・17%も上昇しています。フィナンシ エロ紙は、こうした価格上昇の原因は「 ガソリン価格の上昇やドル高によるも のだ」と述べています。

こうした事態を受け、連邦消費者検察庁 (PROFECO)はメキシコ各地でこの時 期に、1割から4割ほど安くした学校用 品を販売しており、メキシコ人の親たち の助け舟になっています。 また、納税者に対しては、2011年当時の フェリペ・カルデロン大統領が、教育の 機会を増やし、経済再生を促進する目 的で、子どもがいる家庭のみ、一定金額 税金を控除することを決定しました。 また財務省はその後、政府の貯蓄でこ の控除分の税額を補填するとしていま す。 この恩恵は、以下のように、どのような 学校に通っているのかにあわせて、子ど も一人につき、最大で以下の金額が控 除されます。

• 幼稚園 14,200ペソ

• 小学校 12,900ペソ

• 中学校 19,900ペソ

• 職業専門学校 17,000ペソ

• 高校 24,500ペソ

余談ですが、この控除、日本人をはじめと する外国人も対象となっています。お子さん が私立に通っている場合は、ほとんどの場 合、会社や会計士がチェックされていると 思いますが、一度確認されてみるとよいで しょう。

この政策は聞こえがいいかもしれません が、1つ落とし穴があります。CIEP(経済予 算リサーチセンター)によると、教育費で 税金控除を受けた、子どもが私立学校に通 う人は300万人にのぼります(幼稚園が18 % 、小学校が35.6%、16.6%が中学校、27.1 % が高校、2.7%が高等専門学校)。

この 300 万人は家庭の年収にあわせて、控除額 が決められていますが、52%は富裕層や 準富裕層で、貧困層は3%しかいませんで した。 もちろん、そもそもこの法律は、授業代を 支払う私立に子どもを通わせている人たち にむけたものですが、私立に子どもを通わ せることができるメキシコの特権階級だけ が、得をしているようにみえます。また、こ の控除のせいで2億5600万ペソが失わ れ、且つ、この金額が基礎教育に使う額と 一緒であることを考えると、問題はより深 刻に見えます。こうして特権階級だけに恩 恵をあたえることで、真の教育の平等が奪 われているのです。

<参照・参考>

STAFF. (2017). Derrama economica de 75mil millones de pesos por regreso a clases. 3 julio 2018, de Concanaco Sitio web: http://www.concanaco.com.mx/ derrama-economica-de-75-mil-mdp-por-el-regreso-a-clases/ Fernando Celis. (2017).

Familias mexicanas gastan 3000 pesos por regreso a clases. 3 julio 2018, de Forbes Sitio web: https://www.forbes.com.mx/familias-mexicanas-gastan-3000-pesos-por-hijo-en-regreso-a-clases/ Fiorentina Garcia Miramón. (2018).

La educación privativa: Gasto tributario con esquema regresivo. 3 julio 2018, de CIEP Sitio web: http://ciep.mx/la-educacion-privada-gasto-tributario-con-esquema-regresivo/

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