19歳のメキシコ青年 乳がん早期発見の革新技術を開発  

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フリアン・リオスさんは、どこにでもいるような、ごく普通のメキシコ人少年でした。少なくとも、12歳になるまでは。

彼が12歳の時にお母さんが乳がんになり、彼の人生が180度変わりました。残念ながらお母さんのがんは発見が遅く、患部は既に数センチの大きさになっていたことから、結果的に両乳房を切除しなければならず、死生の間をさまようような状態となり、その状況を見守っていた彼にも大きな心の傷を残すことになったのです。

そんな経験を持つことになった彼も5年の月日が経ち、高校生になったある日、衝撃の事実を知ることになるのです。それは、日進月歩が当たり前と考えていた医学の世界において、あの時お母さんを苦しめた乳がんの検査方法が5年たった現在でも、画期的な技術開発が行われることがなく、今でもほとんど変わっていなかったことでした。この強い衝撃と失望感は、その2年後に現れる「EVA」という乳がんを検知できる下着開発への強い意志と行動力を生み出すことになるのです。

このEVAの使い方はとても簡単。1週間に1回程度、60分から90分ほどブラジャーとして装着するだけなのです。このEVAを装着している間、内蔵されたセンサーにより、被験者の体温や皮下組織の変化など細かな差異を記録するというものなのです。

実はがん細胞は増殖する際に、大量の血液が必要になり、またそれに伴って体温も上昇します。また、感触にも変化が発生するために、これらのデータを取集し、その変化をとらえることは重要なこととされています。
そこでこのEVAは、そういった胸の様々なデータをブラジャーという日常的に使われている下着によって収集、専用アプリケーションによる変化の分析、そして何千万もの被験者から取得したデータ群との比較。この3つのプロセスを有機的に融合させて、異常を感知し、最終的な乳がんの発見につなげています。

フリアンさんは、15人の若きプログラマーやエンジニアと共にこの偉業を成し遂げました。そしてその輪は、メキシコだけではなく、コロンビア、スペイン、アメリカ、そして日本までつながるものへと成長しました。また、IMSSやAxa Seguros, Avon, Apple, Googleといった関係機関や民間企業とも戦略的に連携や投資を受けています。そのほか、乳がん撲滅を推進している団体との協力も行っています。

今年10月は、EVAのアルゴリズムへさらなる改良を加え、乳がんの検出精度を上げた製品をメキシコ国内で販売する予定です。そして、来年には日本での販売も視野に入れています。

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