多様性を受け入れる地域社会 ムシェ:オアハカ・フチタンの場合

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ムシェ【Muxe】とは、オアハカ州にあるサポテカ族【Zapotec】の町フチタン【Juchitan】に暮らす人たちで、元来、男性として生まれたものの、コミュニティの中で女性として生きていくことを宣告され、そして自らの女性としてジェンダーを自認し、女性として生きていくことを選んだ人たちのことを指します。このムシェという独特な慣習は、母系社会を古くから守ってきたフチタンの社会では、西欧の社会のトランスジェンダーとは違ったものとして、ごく当たり前のものとして捉えています。

チタンでは、ムシェの人々は地域社会になくてはならない存在としてとらえており、かれらが普通に暮らせる環境を家族や地域社会がサポートして作り上げています。ムシェの人たちの日々の生活、そして社会や家族とのつながりなどを記録し、日本の皆様にぜひ見ていただき、この開かれた社会を知っていただきたい」とムシェの生活についてのドキュメンタリープロジェクトを実施している若手の日本人アーティストであるペイ・シンデイ・マツバさんは語っています。

「ここでは、自分の意思で性別を選び、好きな服を着る権利もあり、そしてそれを誰も批判しません。それがごく当たり前、自然なこととしてこのフチタンでは受け入れられています。」

日本の皆さんにとっては不思議な街に見えるでしょう。でも、このコミュニティが外の世界に対して躊躇なく、ここでの昔から続く日常を見せるということは、そもそもこのコミュニティにおいては、性別を超えた人格の尊厳と平等という文化があることを意味しており、先進的と自負している西欧化された外の世界への一種のメッセージではないのでしょうか。
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