メキシコの女性の今 データが明かすその現実 その2

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3月号の「教育」「仕事」に引き続き、メキシコ の女性についてお伝えしたいと思います。 今回は「健康」と「出産・結婚」というテーマについてデータを見ていきましょう。

■「健康」

〇私立病院に行く女性は全体の一割

2015年の調査では、国民の82.2%が医療サービスを受けられており、女性は52.4%と高いです。しかし、搬送される病院は、保健省の運営する病院や医療施設が39.7%、IMSS(メキシコ社会保険庁)の運営する病院が30%となっており、一般的に高度な医療が受かられるという私立の医療施設に行く割合は13.5%となっています。

〇病気で亡くなる割合は男性より女性の方が多い

2015年のメキシコでは65万5688人が亡くなりました。そのうち女性は28万5498人と男性より少ないです。女性の亡くなった方の大半は高齢者で60歳以上が72%、続いて30~59歳が19.3%、15~29歳は2.9%、0~14歳は1.7%となっています。

メキシコの死亡原因の一番は循環器系疾患で、死亡者全体の25.5%を占めています。

性別で分けると男性が23.8%、女性が27.5%と、女性の方が高くなっています。

二番目はホルモン異常などの内分泌疾患やメタボリックなどの代謝疾患の17.5%で、これも女性の方が20.2%と男性の15.3%より高いです。続いて糖尿病が全体の15%で、女性が17.4%で男性が13.1%。その他にガンが全体の13%で、女性が15%で男性が11.5%と、いずれも死亡率は男性より高くなっています。

■「出産・結婚」

〇初産は20歳で子どもは生涯に二人

INEGI(国家統計地理情報局)の2014年の調査によると、15~49歳の出産適齢期の女性は3190万人で、この数字は51.9%に当たります。

ENADID(全国人口動態調査)の報告によると、初産の平均年齢が1976年は18.8歳だったのに対し、2014年には20.2歳と高くなっています。ちなみに日本では厚生労働省の調査によると、2014年の平均年齢は30.6歳で、こちらも年々高くなる傾向を示しています。また、ENADIDの報告で、2011~2013年の間に初産を経験した女性で一番多い年齢グループが20~24歳であることもわかりました。

1人の女性が一生の間に産む子どもの数を表す合計特殊出生率は、2014年が2.2人となり、全体では年々下がる傾向を見せています。出生率が高い州は、チアパス州の2.9人、サカテカス州の2.66人、ナヤリット州で2.58人、ゲレロ州で2.57人となっています。ちなみに同年の日本は1.42人、アメリカは1.86人とこちらも下降傾向を示し、カナダは1.6人と横ばいが続いています。

子どもの数については、一人だけが16.7%、二人が21.8%、三人が16.4%、四人以上が12%となっており、子供がいない女性は33.1%です。

〇三割は避妊をしたことがない

ENADIDの2014年の調査によると、出産適齢期の女性の98.7%が、少なくともひとつ以上の避妊方法を知っていると述べています。実際、約半分の51.6%が避妊をしており、15.3%は避妊をしていたが何らかの理由で現在はしておらず、31.8%は一度も避妊をしたことがないと述べています。

避妊方法について、卵管を糸などで縛る卵管結紮(らんかんけっさつ)が一番使われています。続いてコンドームなどの避妊具が30.4%、ピルなど薬によるものが13.5%、4.8%はメキシコの伝統的な避妊法を使用しています。

ただ、年齢による避妊方法の違いが如実に表れています。例えば、15~19歳で卵管結紮をしている人は1.4%と低く、20~24歳になると9.5%とその数値は増えるものの、出産適齢期の女性全体の1.4%ほどにしかなりません。ただ、年齢が上がるとこの方法で避妊している人の割合は増加し、40~44歳は73.8%、45~49歳では82.6%という数値を見せています。若い世代に多い方法は避妊具やピルなどによるものです。15~19歳の94.5%、20~24歳でも85.8%が使用しています。反対に40歳以降になると、この方法による割合は2割以下に減っていきます。

〇結婚は16年前より三割も減少

メキシコにおける2015年の人口1000人当たりの婚姻率は5.0となっています。これは1999年の7.6だった時と比べるとおよそ30%以上の減少を示しています。ちなみに日本は、厚生労働省の調べで2015年は5.1で1999年は6.1と、メキシコに比べて緩やかですが同じく下がっています。

Encuesta Intercensal 2015(国勢調査の中間に行われるINEGIによる大規模調査)では、独身女性の割合は31.5%と男性の37%より低く、結婚している女性の割合は38.1%と、ここでも男性の40.6%よりも低い結果が出ています。

■まとめ

読者の皆さんも肌で感じておられるようにメキシコは今、急激で大きな社会変革の時期を迎えています。これらのデータは先進国と比べても同じようなグラフの推移を示し、成長へと導いているとも言えるでしょう。しかし、そこには昔の生活や文化、因習などから捨てなくてはいけないものや成長のスピードに追いつけず制度的に置き去りにされるものなど、その代償がとても大きく、それらが社会の歪みとして浮き彫りになっているのも現実です。

今回は「女性」にスポットを当てデータを読んでみましたが、もちろん、女性の地位向上はメキシコが率先してやらなければならない大きなひとつですが、それらを包括する社会の仕組みに対しても、新しい時代の扉を開けるために変革への道筋を決める、今はそんな過渡期とも言えるかもしれません。

<日本語編集における参考資料>

・厚生労働省 – 平成26年(2016)人口動態統計の年間推計

・総務省統計局 – 世界の統計2015

・内閣府ホームページ- www.cao.go.jp

 

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